安くて効果のある中医薬

このところ歯茎が腫れて痛みがあったので歯ブラシと歯磨き粉を替えた。歯磨き粉は昆明で作られている三七薬物牙膏というやつでスーパーの棚でたくさん並んだ歯磨き粉の中で1元5角と破格の安値で少々怪しい雰囲気を漂わせていたが、使ってみたら腫れが収まった。先日も風邪で喉を腫れさせていたが、桂林の桂林西瓜霜という7元ほどで買える、粉末を患部に噴きかける薬を使ってみたら腫れが引いた。
これらはみな中薬の薬材を使っているものだ。しかし中薬がなければ中国の歴史が変わっていたかも知れないほど重要なことはあまり認識されていないのではないだろうか。
抗日期間、国共対立期間と、共産党軍は物資が甚だしく欠乏して西洋薬がほとんどない状況下で、中薬だけを使うしかなかった。共産党軍は薬草を摘みとって自前で製薬して、無数の傷病兵の治療に使った。これら傷病兵の治療を経て彼らは中薬の柴胡が消炎薬として有効なことを知ったのだ。柴胡を加工した湿布薬も効果があることが分かった。また、延安中央医院の記録によれば、病院の腸チフスの死亡率は1940年の10.7パーセントから1941年の3.9パーセントと落ちており小児肺炎の死亡率は5パーセントにまで落ちている。もし中薬が無ければ内戦を戦い続けていくことは不可能だったろう。また雲南雲南白薬は外傷出血や打ち身腫れなどに有効で、ベトナム戦争では解放軍の前線兵士の治療に用いられた。
現在、中国では医者が儲けのために値段の高い西洋薬ばかりを処方する傾向にある。もし価格が安くて効果の高い中医薬を使えば医者と病院は儲けることができないからだ。安くて効果のある中医薬はいつまでも安くあって欲しいものだ。