広東の知られざるピンイン文字「道字」

広東には普通語にも広東語にも適用できる、漢字の発音の頭と終わりを取った一種の切音字である「道字」がある。清末に新会出身の香港米商人である陳澄波が中国教育の遅れと漢字の繁雑さを解決するために文字を創造し、人が道を歩くように簡単に理解できることから「道漢字体」と名付けた。アヘン戦争後、中国は半植民地と化し愛国的知識人による漢字の改良運動である切音字運動が巻き起こり相当な数にのぼる切音字案が提案された。しかし広東珠江デルタ地帯で唯一残ったのは陳澄波の創った道漢字体だった。
民国時期に至ると陳瑞祺が父の「道漢字体」文字を基礎にして1933年に一種のピンイン文字である「道字」の発明に成功し貧乏な人々に無料で教えた。道字は普通語に当たる国音と広東語の粵音に分かつことができ、漢字発音の頭音と尾音を組み合わせて形作られた。陳瑞祺は「道漢字」などの字典を出版したほか、道字に5個の声調を追加して広州音にも応用できるようにした。
戦争で一旦中断した道字の普及活動だが、20世紀の70年代から80年代になると陳瑞祺の子である陳経綸が更に広い普及を図って巨額を投じてコンピュータでも使える道字入力法を開発し、道字を新たに「陳氏中国拼音字」と名づけた。2000年には陳経綸は香港で「陳氏中国拼音字」のマルチメディア学習CDの制作に専念。学習と使用を融合したCDは、ユーザーにとり十分使いやすいものだった。1978年以来陳経綸は全国各地で普及運動を展開し、海外にも多くの学習者がいるといわれる。
以前に訪れたインドネシアスマトラ島ブラスタギの中国人の経営する雑貨店で見た文字は地元のバタク文字とは違っていた。商品に付けられていた奇妙な文字は一見するとバタク文字と似ているが華僑の店主が気まぐれに作った文字とは思えなかった。今思い返せば、あれは道字であったに違いない。店主は広東につながりのある華僑でどこからか道字を教わったに違いない。だとすれば今、広東省でも見かけることのほとんどない道字が遠いインドネシアで生き残っていたことになる。

“道字”是新发明的拼音字,分国音、粤音两种,由声头声尾拼合而成。国音有声头二十五个,声尾三十三个;粤音有声头二十一个,声尾三十三个。每字均用一笔,写字快捷,其拼音方法完全根据人类自然发声的机能,所以学习容易,有如“道路之为人所共行,道理之为人所共晓,不外顺应自然之道,故名曰‘道字’”,没有涉宗教、政治、党派之色彩,纯以慈善为宗旨,“道字”的好处就是易学易识易记易用易写。[...] 据了解,“道字”有一百年历史,鸦片战争以后,中国沦为半殖民地半封建社会,为挽救民族和振兴中华,一些爱国知识分子提出了教育救国的主张,梁启超、沉学、卢戆章、王照都一致指出,汉字的繁难是教育不能普及的原因,因此,掀起了一场“切音字”运动。陈经纶的爷爷陈澄波于是开始着手改良文字。至民国年间,陈瑞祺先生继承父志,成功发明了“道字”,并免费教育穷人。当时“切音字”的方案相当多,只有陈澄波创造的一两笔式的“道汉字体”传习于广东珠三角一带。后来由于遇遭战乱,“道字”的推广曾一度被中断。到了二十世纪七八十年代,陈经纶先生决心更大面积地推广“道字”,于是投入巨资研制程式。目前,“道字”已成了不少学生第二课堂的学习内容,在全国10多所学校推广。

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